日本子ども虐待医学会とは

設立趣旨

わが国の子ども虐待は年々増加傾向で、大きな社会問題となってきている。子ども虐待の問題は、福祉、医療、保健、心理、教育、法律、司法など、多彩な領域に関わる学際的な問題であり、予防・対応のためには各領域の連携が不可欠である。
また、各領域における深い専門性を要求される問題でもあり、医学領域においては、乳幼児を中心に死亡例も多く、その前段階である、被虐待児に特有の骨折、タバコによる熱傷、器具を使った殴打、養育不十分、汚れ、痩せ、さらに、乳幼児揺さぶられ症候群に特徴的な脳画像所見や眼底所見、代理によるミュンヒハウゼン症候群における人為的操作による検査所見や病気の捏造など、小児医学の中でも心理面まで配慮した特殊で広範な専門性が要求される状況が少なくない。
社団法人 日本小児科学会でも、平成16年度から子ども虐待の問題を検討するプロジェクトチームを設立し、小児科医の意識と虐待診療技術の向上を目的に活動を行ってきた。
そうした活動のなかで、小児科医自身のボトムアップの必要性を痛感すると同時に、医療における子ども虐待の問題は、小児科だけで対応することは困難であり、すべての臨床診療科および法医学などの関連医学領域の総力をあげた連携が不可欠であるという共通認識を持つに至った。しかし、わが国では、まだ、子ども虐待に専門的に携わる者が少ないだけでなく、複数の診療科医師や看護職、医療ソーシャルワーカー等が集い、虐待の問題を自由に、かつ専門的に議論できる場はきわめて限られている。
そこで、本研究会は、子ども虐待における医学的な取り組みの向上と子ども虐待に関する調査・研究ならびに知識の普及をはかり、関係機関と連携して虐待・ネグレクト家庭を支援し、子ども虐待予防を推進することを目的とし、さらに、専門職の育成を目指し、わが国における子ども虐待を専門的に研究する団体として「日本子ども虐待医学会」を設立する。

平成21年8月2日

団体の名称 日本子ども虐待医学研究会
(現 一般社団法人日本子ども虐待医学会)
設立代表者 小池 通夫

規約

日本子ども虐待医学会定款ダウンロード (PDFファイル229KB) 令和4年7月24日改正

役員

理事長
 小川 厚(小児科)
副理事長
 神薗 淳司(小児科)    山田 不二子(内科/司法小児科)
理事
 荒木 尚(脳神経外科/救急科) 安 炳文(救急科)      石倉 亜矢子(小児科)
 井上 登生(小児科)      内ケ崎 西作(法医学)    岡田 邦之(小児科)
 小熊 栄二(放射線科)     木下 あゆみ(小児科)    小橋 孝介(小児科)
 白石 裕子(看護師)      仙田 昌義(小児科)     田﨑 みどり(児童精神科)
 丸山 朋子(小児科)      溝口 史剛(小児科)     美作 宗太郎(法医学)
 山中 巧(脳神経外科)
監事
 岩原 香織(歯科)     毎原 敏郎(小児科)

事業

日本子ども虐待医学会(JaMSCAN)は、子ども虐待に関する学術の進歩ならびに知識の普及をはかり、子どもの健康と福祉の向上に寄与することを目的として、以下の事業を行っています。
*学術集会、その他講演会の開催
*子ども虐待における子どもの保健および医療の発展向上に関する研究、調査および知識の普及
*専門医、専門職の育成

また、近い将来、図書の刊行も実施する計画です。